
前回の自己紹介記事では、僕がどんな人間なのか、どうしてバイクにハマったのかを書かせてもらいました。今回はその続きとして、僕の「ちょっと黒歴史かもしれないけど、今となっては大事な経験」について語っていこうと思います。
テーマはズバリ、「初めてのバイクレースで事故った話」。
これは僕がバイクの世界の楽しさと怖さの両方を一気に味わった、ある意味“人生の転機”みたいな出来事でした。
■きっかけは小さな興味から
あれはちょうど2年前、僕が27歳の時。
ある日SNSで流れてきた、とあるバイクイベントの告知がきっかけでした。内容は「アマチュア向けのミニサーキットレース」。タイムを競うタイプで、初心者でも参加OK、という文字が目に飛び込んできました。
「レースって憧れるけど、自分が出るなんてムリだよな…」
そう思いつつも、心のどこかで「面白そう」と感じたのを覚えています。
そこから数日悩んで、勢いで申し込み。
今思えば、あの時の自分は「バイクに乗れる=速く走れる」と思い込んでたんですよね。
■レース当日、テンションMAX
会場は都内から車で2時間ほどの場所にあるミニサーキット。朝から独特の緊張感が漂っていました。
周囲を見渡すと、ガチ装備の人たちばかり。革ツナギ、専用のトランポ(車)、スペアタイヤ、工具一式…。
「うわ…俺だけ浮いてるかも」と不安になりながらも、スタッフの方が優しく対応してくれて、少し安心しました。
僕の愛車はCB400。ツーリング用にカスタムはしていたけれど、サーキット仕様なんかじゃない。
ただ、それでも「このマシンでどこまで走れるか試したい」って気持ちは本気でした。
走行前のブリーフィングでは「無理をしないこと、安全第一」と何度も言われたのに、いざコースインした僕は、完全にテンションが上がっていました。
■スピードの魔力と自信過剰
最初の数周は慎重に走っていたつもりでした。けど周囲のライダーが次々と自分を抜いていくと、「このままじゃダサい」と焦り始めてしまったんです。
「もっと攻めてみよう」
「ここ、もう少し寝かせられるはず」
そんな気持ちが、少しずつラインを乱していきました。
そして事件は6周目の最終コーナー。
立ち上がりを速くしようとスロットルを開けた瞬間、リアタイヤがグリップを失いました。
スリップダウン。
体が空中に投げ出され、地面に激しく叩きつけられました。
■一瞬の出来事、そして痛み
衝撃とともにヘルメットの中でゴツンという音が響き、気づけば地面を滑っていました。
「やばい」と思った時にはすでに転倒していて、バイクは数メートル先で横たわっていました。
すぐにマーシャル(安全スタッフ)が駆け寄ってくれ、担架に乗せられてピットへ。
幸い、意識ははっきりしていたものの、肩の痛みが激しく、右足もまともに動かせない状態。
そのまま救急搬送され、病院での診断結果は「右鎖骨の骨折」と「右足首の靱帯損傷」。
レースどころか、しばらく日常生活にも支障が出る大ケガでした。
■レースに出て、僕が学んだこと
この事故で、僕はいくつか大事なことを学びました。
まず一つ目。
「自信」と「過信」は違うということ。
バイク歴が何年あろうと、レースの世界はまったく別物。公道でどれだけ走っていても、サーキットでの走り方、マシンの挙動、タイヤの限界…すべてが違うということを、僕は身をもって知ることになりました。
二つ目。
装備の重要性。
正直、僕は完全なサーキット用の装備を持っていませんでした。ツーリング用のプロテクターはつけていましたが、それでも転倒の衝撃は防ぎきれなかった。
それでも、ヘルメットとグローブがしっかりしていたおかげで、顔や手の大怪我は免れました。装備って、本当に命を守ってくれるんです。
三つ目。
「楽しむ」ためには「守る」べきものがある。
無理をして速く走ることが「かっこいい」わけじゃない。安全を守って、長く楽しむことこそが、本当のライダーの姿だと今では思います。
■今だからこそ話せること
事故当時は、正直言って「もうバイクやめようかな」と思いました。
松葉杖で通勤しながら、周囲からは「危ないことやるからだよ」と責められ、精神的にもけっこう落ち込みました。
でもリハビリ中に再びバイクの動画を見たり、ツーリング仲間が見舞いに来てくれたりするうちに、少しずつ「やっぱり、もう一度乗りたい」と思えるようになりました。
そして今、こうしてブログを書いているのも、あの事故があったからこそ。
危険を知ったうえで、それでもバイクが好きだと言える。そんな風にバイクと向き合えるようになった自分を、ちょっと誇らしくも思っています。
■最後に:読者の皆さんへ
この記事をここまで読んでくださった方へ。
もしこれからバイクに乗ろうと思っている方、あるいは同じようにサーキットに興味がある方がいたら、僕の体験が何かの参考になれば嬉しいです。
バイクは最高の相棒ですが、時に牙をむくこともある乗り物です。
だからこそ、知識と準備、そして心の余裕を大切にして、安全に楽しく走っていきましょう。
次は、怪我じゃなくて「勝った!」とか「いい走りができた!」って記事を書きたいですね(笑)
それではまた、次の記事でお会いしましょう!